こんにちは、京築ママライターのあゆみです。関西から移り住んで8年が経ちました。今はすっかり京築が好きになって、一生住み続けたいと思っています。
今回は郷土研究家・豊前国小笠原協会理事の光畑浩治さんが、4作目のエッセイ集を12月に出版されたのでさっそくお話をうかがいに行きました。
郷土にある「見えないもの」を掘り起こして言葉に残す
「郷土の歴史・史跡の解説ではなく、郷土にある目に見えない大事なものや忘れられてしまったもの、郷土の人の知られざる部分を掘り起こし、言葉にして伝え残したい」と語る光畑さんは、3日に1編のペースでエッセイを書いています。郷土以外のことを書くときも視点は同じで、埋もれている人・もの・ことを掘り起こし、光畑さん独自の世界観で文字に命を吹き込みます。
いつもの風景は視点を変えて見ることで新たな発見があることや、視点を変えることで今あるものから新しいものが作り出せるとお話されながら、実際に京築で掘り起こしてきた「ガラミ酒(ワイン)」や「かずら筆」についても教えていただきました。これらは別記事で詳しく紹介しますね。
「歴史や史跡などは、解説を読めばわかることだから」と話す光畑さん、読むことも見ることもできないものを人々に伝わるように表現する活動に焦点を当てています。そうして書き溜めたエッセイが1,251編になり、それらを書籍「田舎日記」シリーズとして、これまで3冊出版されました。今回は4冊目の「田舎日記」となります。
書き溜めたエッセイを世に送り出す
これまで書き溜めてきたエッセイを、書や写真とのコラボレーションにより1冊の書籍に仕上げ、出版するようになりました。令和2年12月12日に出版したのは『令和田舎日記』で、365編で構成されています。1編が約1,000文字で1冊365編となると、かなり読み応えのある分量と内容。けれども1編は短時間で読み終えられるので、隙間時間にちょこっと楽しむのにちょうど良いです。内容は郷土・歴史・時事など多岐に渡りますが、独特の切り口で世界観が広がり、どこにもない「田舎日記」が生まれます。物事を見る角度を自在に変えることができるから、見過ごしそうな情報までも拾い集めることができ、光畑ワールドの匙加減で独自の世界観が作られるのでしょうか。
チラッと覗き見『令和田舎日記』
『令和田舎日記』に収載された365編は、7つの章〜「京築」「歴史」「文学」「言葉」「生活」「人間」「時代」〜に分類されています。目次を眺めながら、興味深い分類だなぁと感じました。ページをめくると「昭和」の元号についての話が目に入りました。私は昭和生まれですが、昭和の元号の考案者がみやこ町出身の漢学者・吉田増蔵氏であることを初めて知りました。ページをめくると行橋市、苅田町など、見慣れた地域の名前といろんな人たちが登場します。現在の話もあればずっと昔の話も。世界の人が遺した「最期の言葉」を紹介している話もありました。
『令和田舎日記』はどこで買える?
書籍購入はAmazonや楽天ブックスなどの通販サイト、行橋市の「Book Box」、みやこ町の「瓢鰻亭(ひょうまんてい)ひまわりこども」など北九州・京築地区の書店で購入することができます。2,000円(税別)です。
大人の言葉遊び
光畑さんの話は尽きません。どんなことも考える材料にしてしまい、普通のありふれた毎日のことから新しいことを発見するのだから、話が尽きたりしないのですね。私は真剣に遊ぶ大人が好きなのですが、いそうでなかなかいないのですよね。光畑さんはそういう大人のお一人だと感じました。
私も書くことを仕事としていますが、常に言葉遊びの心を持って文章を書けるようになりたいと思っています。ピンと糸を張ったような気持ちで文章を書くのではなく、適度な遊びを持たせることで周りを見渡すゆとりができるのではないかと思います。ありふれた日常にこそ書く題材があり、そこから新しいものを生み出すということを教えていただきました。書くことへの情熱はもとより、郷土愛と好奇心・探究心は半端ないです。京築に住んでいる人に読んで欲しい1冊です。
今後の制作予定
今後光畑さんの著作物出版予定は、2021年春に築上町にある本庄の大樟を80年描き続けた嶋田隆画伯と光畑さんのエッセイ108編とのコラボレーション。すごいです! 大樟の油絵を見せていただいたのですが、あんな迫力のある木の絵を見たのは初めてでした。木が生きているようで、今にも動き出しそうな。大樟の油絵以外の芸術作品も添えられるそうです。それは何かはお楽しみ^^ 文章と芸術と、昔と今と、人の縁を感じる本になることでしょう。今からワクワクしています。本庄の大樟が好きな方は要チェックです!
もちろん、本が出版されたら光畑さんに取材に行きますよ! 本が出来上がるまでのお話、たっぷり聞いてきますのでお楽しみに♪