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持続可能な未来のあり方〜全ての人が自由に能力を発揮できる環境〜

松岡綾華さん19歳

謙虚で穏やかな雰囲気を持ちながらも、目の奥には確かな意志が感じられる、そんな素敵な女性です。

綾華さんは、幼い頃から元気いっぱいで、外遊びが大好きな女の子でした。その頃に身につけた行動力やエネルギーは、今でも彼女の中にしっかりと息づいています。昨年、福岡県築上町にある福岡県立築城特別支援学校を卒業した彼女は、そこで培った基礎的な知識やスキルを大切にしながら、新たな一歩を踏み出す決心をしました。

障がい者の就労支援にはいくつかの選択肢があり、就労継続支援A型・B型や、一般企業への就職を目指す「就労移行支援事業所」でのトレーニングがあります。綾華さんは、自らの可能性を広げるために後者を選びました。

現在、社会福祉法人筑穂福祉会セルプちくほで、就職の為の技術を学んでいます。

綾華さんとSDGs

綾華さんとの出会いは、築上町の人権課から「SDGsについて詳しい子がいるから、ぜひ取材に来てほしい」と紹介され、彼女に会いに行ってきました。

高校一年生の時、総合の授業で初めてSDGsと出会った綾華さんは、当初から「もっと知りたい」という好奇心を持ち、学びを深めていったと話します。

綾華さんは、小さな実践を通じて、地域の協力者たちと共に活動の輪を広げ、SDGsの理念を具体的な行動に結びつけてきました。

 

取材中「SDGsのどこに興味を持ったのですか?」と尋ねると、綾華さんの目が輝き、前のめりになって語り始めました。

彼女が特に関心を寄せるのは、貧困問題や地球温暖化による環境問題だそうです。

「発展途上国の8つのMDGs(ミレニアム開発目標)もそうですが、私はSDGsの17項目の中で、特に大人も子どもも関わる貧困問題と地球温暖化の影響に興味を持っています」と熱を込めて説明します。

その瞬間、彼女の情熱が伝わり、こちらも引き込まれるような迫力がありました。

SDGsについて

SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals」の略称で、

「持続可能な開発目標」という意味です。2030年までに17の目標が掲げられています。これらの目標は、貧困の撲滅、教育の質向上、ジェンダー平等、気候変動対策など、持続可能で公正な世界を目指すために設定されています。

SDGsの前には、MDGs(ミレニアム開発目標)という、主に途上国を対象に貧困や教育格差の是正し、疾病対策などが目標となっていました。SDGsではさらに先進国も含めたサステナブル(持続的)な社会を実現するために、産業や経済成長、防災、地球環境に関する目標も追加されました。

 

綾華さんの行動 インプットからの実践

綾華さんのインプットは、授業だけでなく、たくさんのSDGsに関する本を読んだそうです。

特に池上彰さんのJICAとしての活動に関する書籍が大好きだそうです。

それから、学んだことを即座に実践することで、多くの気づきを得ていきました。

例えば、学校で不要な電気を消すことで二酸化炭素の削減に貢献しようと、使用していない電気を自主的に消して回る活動を行いました。

また、食品ロス削減のために、学校の畑にコンポストを設置することを校長先生に提案し、実際に生ゴミや落ち葉から肥料を作る取り組みを実施。

畑では、とうもろこしやさつまいも、トマトを栽培するなど、SDGsの理念を学校の活動に取り入れることで、環境保護に貢献してきました。

 

綾華さんのSDGsに対する取り組みとその意義

綾華さんは、SDGsについての知識を生かし、学校の友達にSDGsを教える活動を始めました。

「SDGs目標12 エネルギーを大切に使おう!」というメッセージを込めたカードを作成し、高等部や職員室に配布し、SDGsの重要性を伝え、意識を高めるための具体的な行動を起こしました。

また、2024年1月に起こった能登半島地震の際に、募金活動を行いたいと自分から校長先生に伝え、校内での募金活動を実現させることにも成功しました。

綾華さんの知識と提案を先生と他の生徒たちと共有することで、
人数も増え活動の場所を学校外へと広げることが出来ました。

赤十字の募金活動や地震の募金活動など、自分たちが出来る活動をしていく中で
『SDGsを知ってもらいたい』との思いがさらに強くなっていきます。

築上町役場で行われたイベントでは、マフィンなどを販売し、購入していただいた方に少しでも興味を持ってもらえるように、使用したプリントの裏にSDGsの内容を書いたストラップを作り配りました。

メモ帳の裏を使用したリサイクルのSDGsのストラップ。


綾華さんの小さな一歩が人を動かし少しずつですが活動が繋がって行きました。

 

綾華さんの行動 進む先の困難

彼女の取り組みには、反対意見も寄せられました。

「そんなことせんでもいいやろ」という声もあった中、綾華さんはSDGsの5番目の目標、ジェンダー平等の重要性を理解し、多様性を受け入れることの大切さを認識していました。

この理解が、彼女が反対意見をプラスに受け止める助けとなり、

より良い社会を目指す意欲を強めました。

持続可能な未来を築くためには、すべての人が自由に能力を発揮できる社会が必要です。

性別や立場に関係なく、個人の権利を守り、互いの違いを受け入れることで、私たちは共に成長し、発展していくことができます。

綾華さんの小さな一歩は、人々の意識と気づきを高め、持続可能な未来に向かう道を少しずつ開いています。

 

現在と今後の目標

綾華さんは現在、就労移行支援事業所でミシンや就職に必要な技術を学びながら、将来のキャリアに向けて着実に準備を進めています。

彼女は技術の習得だけでなく、さらにSDGsを広めることにも情熱を注いでおり、さまざまな人々にその重要性を伝えたいと話します。

自身の成長と社会貢献を両立させる姿勢はたくましく感じました。

綾華さんの活動は、周囲の人々にも大きな影響を与えることでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ABOUT ME
sono
産まれも育ちも京築人。山が好き、海が好きなキャンプ好き。スポーツインストラクター。京築で子育てイベント「ママ笑」や出逢いイベント「アオハル。」を主催。スポーツマネジメント・イベント企画のY's Links Management (同)設立。小中高の三姉妹母。2020年よりフリーライターとして、京築ママライター&西日本新聞「てくてく京築」「ファンファン北九州」の担当ライターとして務める。