日本では1月7日の「人日(じんじつ)の節句」には、七草粥を食べる風習がありますね。
春の七草「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」。昔学校で覚えた記憶があります。
今の時期(記事を書いているのが1月6日、明日ですね!)は、スーパーなどに行くと必ず見かけます。
今日のトピックは、七草粥ではなく七草飩(どん)。知る人ぞ知る、七草飩の秘密にせまってみました。
冬至に食べる七草飩とは
七草飩は、諸説ある冬の七草のうち「運=ん」が2つ付く7種
南瓜(なんきん)
金柑(きんかん)
銀杏(ぎんなん)
人参(にんじん)
蓮根(れんこん)
寒天(かんてん)
饂飩(うんどん)※うどんは漢字で「饂飩」と書くそうです!
この7種を冬至の日に食べて、冬を乗り越える元気な体をつくろうと、新しい取り組みが福岡県行橋市の稗田校区で始まったのは2017年のこと。2018年には行橋市の市報や新聞の地方版で取り上げられたので、稗田校区にお住まいではなくてもご存知の方がいらっしゃるかもしれません。コロナ禍で一時中断はあったものの、今日まで続いています。
2024年の冬至の日に初めて食べた七草飩の味は?
冬至の日、12月21日に稗田公民館へ行くと、出汁の良い香りが漂っていました。
取材だけしようと思っていたのですが、中へどうぞと招かれて、すぐに七草飩が目の前に出てきました。
稗田校区に住む人たちが、イベント開催の時間帯に訪れて七草飩を食べるのだそう。
私も地元の方に紛れて、湯気が上がった七草飩を食べてみました。
うどんの上には、冬の七草が乗っています。
見た目、どうでしょう。美味しそうではありませんか。
蓮根がカリッと揚げられています。
金柑がとっても美味しいし、出汁にピッタリ合うなんて意外でした。
おしゃべりしながら食べても、なかなか冷めないのです。
出汁がすごく美味しくて、少しとろみがありました。だから冷めにくいのですね。
寒い冬至の日に体の芯まで温まります。
女性たちが調理室で一生懸命作業をしていました。
どうやったらあんなに美味しい出汁が作れるのだろう…
レシピ考案者はあのお店のシェフ
レシピを作ったのは、当時みやこ町勝山にあった「古民家レストラン食工房 神楽(からく)」のオーナーシェフ伊藤覚さん。
上品な味だったのはそういうことだったのか、と納得しました。
伊藤さんのレシピには、「ん」が2つ付く「隠元(いんげん)」が加わり、末広がりの8種となりました。
七草飩の仕掛け人
実はこの七草飩、仕掛け人がいるのです。
地元の郷土研究家でエッセイストの光畑浩治さん。
残念なことに、2024年11月に永眠されました。
この七草飩について、エッセイも遺されています。
『平成田舎日記』 光畑浩治著 花乱社
144番目の「冬の七草で七草飩を…」
生前は関西から来た私に京築の魅力を教えてくださり、いろんな人に会わせていただきました。
面白い企画・アイデアを聞いたり、さまざまなイベントに巻き込んでくださいました。
そんな光畑さんとの関係をご存知の方が、声をかけてくださって今回、初めて七草飩を食べる会に参加。
光畑浩治さんを偲んで。
体も心もあったまり、元気に冬を越せそうです。