美しい紅葉が見られる季節になりました。みなさんそれぞれに、秋を楽しんでいると思います。
現在、行橋市の歴史資料館では企画展が開催されています。書道をしている人には、かなりときめく企画展かもしれません。外に出かけた折に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
今回は、企画展の見どころを一部紹介したいと思います。
「文房清供」〜書を支える用具たちの輝き〜
令和4年度第2回企画展 「文房清供」〜書を支える用具たちの輝き〜
期間:2022年10月8日(土)〜11月28日(月)
会場:行橋市歴史資料館
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:45まで)
休館日:毎週火曜日
観覧料:無料
文房四宝はご存知ですか?「文房」とは書斎のこと、「文房四宝」とは書斎で使用する筆・墨・紙・硯のことを言います。今回の企画展は、みやこ町在住の書家・棚田看山さんが所有する文房四宝を中心に展示しています。
企画展は 「文房清供」〜書を支える用具たちの輝き〜
「文房清供」とは書斎において、すがすがしさを提供するものたち、つまり用具のことです。書道を続けて今年で67年になる棚田さんが、コツコツ集めた書道用具はかなりの数になるはず。珍しい物やなかなか手に入らない物をたくさん所有されているとか。
企画展の見どころ
本企画展では、棚田さんのコレクションの中から約50点が公開されています。大きなものから小さなものまで、棚田さんに丁寧に解説していただきました。その中から数点に絞って紹介します。
拓本
昔は写真や印刷というものがなく、石など固いものに彫られた文字を写しとるために、紙と墨を用いる「拓本」という技法が使われていました。法帖という本のようなものに仕立てて、保存や鑑賞または字のお手本として、今でも使われています。
ここに展示しているものは、本物の拓本です。印刷は大量に同じものを作ることができますが、拓本は1枚1枚手作業で写しとります。拓本は現物を正確に写しとるといわれているので、現地に行かずして本物の石碑を鑑賞しているようなものかもしれません。
中国皇帝専用の箋(紙)
皇帝が使う紙に描かれた絵は、なんと手描き。龍の爪に着目してください。日本では龍の爪は3本ですが、中国では3本だけではなく4本の爪を持つ龍もあります。皇帝専用の紙に描かれた龍は、それらとも異なり、5つの爪を持っています。
文房飾り
とても小さな細工が施されている書道用品。実用品というよりも、見て楽しむためにあるようです。昔はパソコンなどなく、文字は紙に筆で書いていた時代。ちょっとした遊び感覚、または芸術品のような文房具を楽しむ心は今も変わりませんね。
実用的な文房具以外に、デザイン性重視の文房具を眺めるのが好きな人は、結構いるのではないでしょうか。
一際目を引く朱拓
中国山東省にある泰山の山肌に、金剛経が2000字彫られているそうです。その大作から8文字選んで拓をとったものが写真の朱拓。その文字を4文字ずつに分けて、意味のある並びにしたものだそうです。
墨もいくつか、この写真に小さく写っています。清の時代の墨(およそ300年前)もありました。入手しても使わずに、手元に置いているのだそうです。それにしても何百年も墨は美しく存在するのだなぁと驚きました。
さまざまな筆も展示されています。人の毛髪はもちろん、1800年代のみやこ町で下枝董村が考案した「かずら筆」もあります。棚田さんは「かずら筆」使いの第一人者でもあります。
企画展は11月28日まで!本物を見られるこの機会にぜひ行橋歴史資料館へ
写真では細かい部分まで写すことができませんでした。この機会にぜひ本物を間近でご覧ください。小さな文房飾り、細かい細工など、近くで見ることができます。文房具に宿った遊び心や、数百年前に作られた用具たちに魅せられます。
最終日は11月28日、観覧は無料です。