遊び

「行動する人」宮村みつおさんが伝えたい沖縄とは

シーサー館

行橋市の裁判所近くに、沖縄の首里城のような赤い瓦とその脇にシーサーがチンと座っている建物をご存知でしょうか。今回はこの建物「シーサー館」の館長・宮村みつおさんを紹介します。

沖縄に魅せられて

宮村みつおさんが初めて沖縄を訪れたのは1972年、沖縄県復帰の年でした。この沖縄訪問で宮村さんはすっかり沖縄に魅せられて、沖縄通いが始まりました。今年が沖縄復帰50年になりますが、宮村さんが沖縄に関わって同じく50年が経ちます。

アダンの実で作った筆で書いた詩アダンの実という、パイナップルに似た実で作った筆で、宮村さん書

50年を振り返り「はじめは沖縄の表面的なことしか見ていなかった」と、宮村さんは語ります。沖縄通いが始まって10年経った頃、沖縄の勉強会に行くようになり、やはり10年通ったそうです。どんなに沖縄のことが好きで、沖縄を深く知ったとしても、福岡県出身の宮村さんは沖縄の人間にはなれません。そこで大好きな沖縄をもっと多くの人に知ってもらうために、自分にしかできない沖縄との関わり方を模索し始めました。

琉球料理と泡盛の店「シーサー屋」

シーサーシーサー館の横にチンと座っているシーサー

1993年5月15日、当時は北九州市唯一だった沖縄郷土料理店をオープンした宮村さん。九州の人に沖縄のことをもっと知ってほしい、沖縄を離れて暮らすウチナンチュ(沖縄の人)の憩いの場にしたいという想いで始めました。その想い通り、たくさんの人の憩いの場になり、北九州の沖縄県人会「ゆうな会」「北九州三線クラブ」「北九州泡盛を楽しむ会」が発足。

三線宮村さんの三線

お店のモットーは「イチャリバチョーデー(出会えば皆兄弟)」。お店で初めて出会う人たちの語り場となり、店内はさながら沖縄の小空間。店主の宮村さんが三線で沖縄の歌をうたっていたそうです。沖縄の歌のCDも出したとか!作詞作曲もしているそうです。※「シーサー屋」は閉店しました

沖縄文化を発信する拠点「シーサー館」

シーサー館長・宮村みつおさんシーサー館前で竹製の三線を持つ宮村さん

2000年8月6日に、シーサー館をオープンした宮村さん。行橋市から沖縄文化を発信する拠点として注目され、雑誌や新聞で取り上げられました。一歩部屋に入るとまず目に入るのが、壁一面にずらりと並んだ泡盛。この部屋で取材を行ったのですが、この日たまたま8月27日で行われる予定になっていたコンサートのリハーサルがありました。ピアニストの照屋薫さんと宮村さんの演奏と歌を、私一人で鑑賞するという超贅沢な時を過ごすことができました。

たくさんの泡盛これ全部泡盛だそうです。こんなに種類があるのですね

美ら島沖縄大使・沖縄市観光大使として積極的に沖縄文化を伝える活動を行い、琉球泡盛の普及にも力を入れてきました。コロナ前は「シーサー館」で三線教室をしたり、人が集まり沖縄文化の交流が活発にされていたそうです。今後はwithコロナで、どのような進化をしていくのか注目していきたいと思います。

「歌う沖縄大使」宮村さん、心の復興を願い被災地を訪ねる

シーサー館内

宮村さんのもう一つの活動は被災地へ出向き、そこで暮らす人々の心の復興支援をすることです。物資を送る以外にも、被災地に暮らす人の心を支えることも大切だと考える宮村さんは、支援を募りボランティアで岩手県や熊本県など被災地へ赴き、沖縄の音楽を届けに行きました。「イチャリバチョーデー」の精神で行く先々で人々と交流し、一緒に笑ってひとときを過ごすことは宮村さんのライフワークとして大切なことの一つになっているようです。

沖縄の万国津梁の鐘をドラマ化

首里城正殿

沖縄の「万国津梁の鐘」(ばんこくしんりょうのかね)を造った人物を描いたドラマの原作者でもある宮村さん。万国津梁の鐘とは、室町時代中頃に琉球王(尚泰久王・しょうたいきゅうおう)の命により造られた鐘のことです。当時、琉球王国ではお寺が建てられていて、鐘を作る鋳物師(いもじ)を探しに琉球王国から使いが九州にやってきたのでした。このドラマでは万国津梁の鐘を造った人物は「藤原国吉」であり、現在の行橋市にある今井にいたのだそうです。

万国津梁の鐘には銘文(めいぶん)と呼ばれる漢文が刻まれています。そこに「大工藤原国善」という文字もあります。「大工」(だいく)とは鐘を作った人のこと、その人の名前が藤原国善となります。「国吉」と「国善」は、漢字は違いますが同じ音「くによし」で同一人物です。このドラマの音声CDを聴いたのですが、とても面白く夢中になりました。映像として世に出されるのを楽しみにしています。

沖縄と宮村さんの出身地である行橋との深い関わりは、偶然なのでしょうか。巡り合わせって不思議です。

プラスのエネルギーを放つ宮村さん

宮村みつおさん宮村さん@シーサー館

とてもエネルギッシュな方なので、お話ししているうちに私も元気になっていました。驚いたことに、宮村さんは60歳の時に韓国留学を決意。「人生一度きり」という宮村さんは、70歳を超えた今もやりたいこと・興味のあることにどんどん挑戦しています。コロナ前は韓国でもコンサートをしていたそうです。
フットワークが軽く、今年(2022年)の10月には宮崎県のリトル沖縄「波島」地区にて、コンサートを予定しています。※詳細はシーサー館にお問い合わせください。

ピアニスト照屋薫さんピアニストのKAORUさん

この取材がご縁で、8月27日(土)にリブリオ行橋で行われた宮村さんと照屋薫さんのコンサートで、写真撮影をさせていただきました。まだまだカメラ撮影が未熟な私の経験になる機会をいただき、とても感謝しています。

ABOUT ME
あゆみ
美容&医療ライター、美容・医療分野記事広告類の法令チェック・リライト、記事の編集・校正・校閲、薬事コンサルティング、西日本新聞社発行の地域情報紙「ファンファン北九州」ライター。過去に臨床検査技師から研究開発職にキャリアチェンジし、化粧品開発者として10年勤務後、大学で法学を学ぶ。 学生時代は英語オンチ、今は洋書オタク。趣味が高じて『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』(主婦の友社 2014年)を商業出版。尼崎市出身、行橋市在住。「英語絵本の会」代表。