暮らし

自然農法の田植え体験記【みやこ町】

昨年、みやこ町犀川鎧畑で自然農法を実践し、野菜やお米を作っている原田さんを取材しました。そのご縁で、今回は自然農法での田植えを体験することができました。

自然農法とは?

自然農法(自然栽培)とは自然に近い形で農作物を栽培する方法です。農薬を使わない点では有機栽培と同じように思えますが、全く違います。自然農法は肥料を使いません。肥料も農薬も使わないで、本当に農作物が育つの?と思われるかもしれません。では誰も肥料をあげていない場所に、立派な木が育っているのはなぜでしょう。

山道1田んぼに向かうまで、緑が楽しめる。

人間は植物を育てるために土を作って肥料をあげて、虫がついたら薬を撒いています。けれど自然の中で育つ植物は、必要なもの全てを自然の中から受け取っています。育つか育たないかは、その土地に合うか合わないかで決まるようです。畑で肥料や農薬を使わずなぜ農作物が育つのかについて、下の記事で説明していますので興味のある方はご覧ください。

無農薬・無肥料の自然農法で暮らす【みやこ町犀川鐙畑】神々しい景色が広がるみやこ町犀川鐙畑。ここで原田ルミさんが、自然農法で田畑を作っています。無農薬・無肥料で作物を育てるのが自然農法。自然と調和しながら生きていく姿、それを見て育つ子ども。優しさと逞しさを持つ親子とのひとときを過ごしました。...

原田さんが育てている田んぼ

山道2真っ直ぐな竹が空を独り占め。

山道を通って、たどり着いた原田さんの田んぼ。以前訪ねた時は、黒米と緑米の実をつけた穂が垂れていました。今回は田植え体験に呼んでもらい、さらに新しい出会いもありました。私たち家族の他に、もうひとりみやこ町在住の女性も参加していたのです。

自然農法の田んぼここが自然農法の田んぼ。

初めてここに来たときは稲刈りの前でしたが、今回は田植えの時期で田んぼの様子がまるで違っていました。見た瞬間、今まで見てきた田んぼとは違うのでびっくりしたというのが素直な感想。上の写真ではわかりにくいですが、去年の稲株が残った状態だったからです。

肥料・農薬を使わないばかりか、耕しもしない?!

原田さんが自然農法の田んぼについて、説明をしてくれました。その中で1番びっくりしたのは「耕さないこと」。農薬・肥料を使わない上に、耕さない(不耕起)なんて。耕さない・・・だから昨年の稲株があるのだとわかりました。

一体どんな仕組みで稲が育ち、お米が採れるのか不思議でした。この日自然農法について話を聞き、自分でも調べてみた印象では、自然の力に任せることで全て上手くいくように感じました。人間が人工的な手段で手を入れれば入れるほど、不自然な環境を作り出し、どこかに不都合が生じるとそれを救うために、また人工的な手段で手を入れざるを得ないのです。それならいっそ、自然の力に委ねてしまうと丸くおさまるということでしょうか。

肥料をあげなくても、稲が育つのはなぜか

実は田を耕さないこと・肥料をあげないこと・農薬や除草剤が必要ないことは、密接に関係しています。

田んぼを耕さずに稲株をそのまま残した状態で土の中の微生物が根を分解すると、もともと根があった部分に空洞ができます。この空洞に微生物が分解してしてできた栄養素が入り込みます。つまり、栄養素の多くが表層部(稲が根を張っていた部分)に留まります。

これに対し慣行農法(一般的に行われている農法)は、田を耕して稲株や雑草などを土の中に混ぜ込みます。すると土中の微生物がそれらを分解して、栄養素に変えます。自然農法との違いは、機械で混ぜ込んでいるので耕盤層(下の方にある土が固くなった層)まで均等に栄養素が混ぜ込まれている点です。しかも時間が経つと、栄養素が次第に耕盤層まで沈んでいきます。

自然農法では新しく苗を植える際には、昨年の稲株の横に植えます。すると苗が根を伸ばした時、すぐ横に栄養がいっぱい入った土があるので、すくすく育つことができます。

慣行農法では土の中に均等に栄養素が混ざっているので、苗が栄養素を吸って成長していくと、やがて根の周りに栄養素がなくなってきます。土の深いところ(耕盤層)にはまだ栄養素はあるのですが、根が深いところまで伸びる前に表層部の栄養素がなくなってしまいます。そこで追加の肥料が必要になるのです。

肥料は与えすぎると人間と同じで良くありません。人間の場合は体重が増加して生活習慣病のリスクが上がります。植物も肥料をとりすぎると体が弱り、害虫がつきやすくなります。自然農法は肥料の与えすぎがないので順調にいけば健全な稲が育ち、害虫がつきにくいため農薬を使う必要はありません。

上記説明は、下記の動画を参考にしました。

自然農法で田植え初体験

田んぼの説明水が入っている田んぼに初めて入った!

田んぼに入ってみると思った以上に足がズボズボと入っていき、歩こうとしても足が抜けません。バランスを失って危うく倒れるところでしたが、なんとか持ち直しました。しばらくすると歩きやすい場所と歩きにくい場所があることに気がつき、恐る恐る歩けるようになりました。

すでに田んぼには綺麗に苗が植えられていましたが、今回は体験ということで、私たちは苗の隙間が広いところや田んぼの端に苗を植えました。

初めての田植え(手植え)筆者も恐る恐る手植えを体験。全然サマになってない(笑)
稲の苗を手植えする息子は意外と早く慣れた様子。

田んぼの土はまるで稲の赤ちゃん用のふわふわベッドのよう

去年の稲の株からまた稲が育つ田んぼには、いろんな虫が生きている。

本当は虫が大の苦手なのですが、原田さんから農薬や除草剤を使わない自然のままの田んぼに住む生き物の話を聞いているうちに、虫が怖いという気持ちがなくなりました。苗を少しもらい、空いているところに手で植えてみると、田んぼの土がまるでふわふわのベッドのよう。稲の赤ちゃんをふかふかベッドに寝かしてあげるような感覚でした。

アミミドロアミミドロが生育していました。藻類が水面に浮いていると、光を遮断するので草が生えにくいようです。

アメンボがスイスイ泳ぐ水面を見ながら、苗を植えていきました。きっと田んぼから出ると、やっぱり虫が怖いに違いありません。でも今この田んぼの中の虫たちが、仲間のように思えてくる不思議。原田さんが田んぼを語るときに熱くなるという気持ちが、少しわかった気がしました。一度体験しただけでこうなのだから、いつも田んぼのことを考えていると愛着が湧くのはごく自然なことのように思います。

田植え後はピクニック気分で

ちょこっと田植え体験をした後、敷物を広げてティータイム。男子たちは田んぼから上がって虫を探し回り、私たち女子はおしゃべりを楽しみました。この日出会った女性もとても魅力的な方で、お話はつきません。

自然の中でゆったりとお茶するのは、最高に贅沢だと感じました。目・耳・肌で感じる自然の中で、日頃のストレスも消えてしまったようです。

原田さんに教えてもらった自然農法は環境にやさしく、まさに人間と自然の共存が叶う方法ではないかと思います。

ABOUT ME
あゆみ
美容&医療ライター、美容・医療分野記事広告類の法令チェック・リライト、記事の編集・校正・校閲、薬事コンサルティング、西日本新聞社発行の地域情報紙「ファンファン北九州」ライター。過去に臨床検査技師から研究開発職にキャリアチェンジし、化粧品開発者として10年勤務後、大学で法学を学ぶ。 商業出版を経験『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』(主婦の友社 2014年)、現在はブックライターとしても活動。尼崎市出身、行橋市在住。「英語絵本の会」代表。