JR行橋駅東口から歩いて3分のところにある、昭和の香り漂う「喫茶マリー」。オーナーは写実絵画の画家である増田信敏さん。巷では喫茶マリーのナポリタンが美味しいそうですが、今回は画家としての増田さんをフィーチャーしたいと思います。
「神秘のリアリスト」増田さんの描く絵
喫茶マリーに一歩足を踏み入れると、目に飛び込んでくる絵画。いや、何も知らずに見たらそれが絵であるとは思わないかもしれません。
写真?いや、見れば見るほど、写真よりも本物らしい? 手を伸ばせば、そこに描かれている物がつかめそうなほどのリアリティある油絵なのです。
写真は平面、二次元の世界に目で見たものをおさめます。キャンバスも二次元なのですが、その中に描かれている絵は二次元とは思えません。写真より本物らしいと感じた訳は、増田さんにお話を伺ううちに納得できました。
増田さんが画家になるまで
福岡県立京都高校入学後、美術部へ入りました。3年間、夢中になって絵を描いたそうです。高校を卒業した増田さんは芸大には進学せず、上京して画家に師事。当時、昼間はレストランでアルバイトをして、夜は絵を描く生活を送っていました。そして19歳で二科展に初入選。
油絵の基本を習得後は独学で絵画を学ぶことに決め、帰郷して行橋に「喫茶マリー」をオープンしたのは21歳の時でした。昼間はシェフとして働き、夜は画家として絵の勉強をする生活を50年以上続けています。
淡々と好きな道を極められた印象がありましたが、大きなスランプに見舞われたこともありました。思うような絵が描けず、画家をやめようとまで思い悩み、画家人生に踏ん切りをつけるためにパリへ向かったそうです。
自分の才能に見切りをつけようとパリの美術館を巡り、巨匠たちが残した作品を直に見たところ、意外にも増田さん独自の境地を開くことができました。自分らしく絵を描き続ける道を見つけた増田さんは、帰国後再び絵を描き始めました。
写実画家・増田信敏さんを知るには?
19歳のときに二科展で初入選した以後10回入選、現在は東京や九州で数年おきのペースで個展を開いています。その他絵画雑誌に掲載されたり、作家・夏樹静子の本の表紙に増田さんの絵が採用されたりしています。これまでの画家・増田信敏さんの歩みと作品は、オフィシャルサイトで見ることができます。
増田信敏オフィシャルサイト(外部サイト)
終わりなき学びと目標
画家としてのキャリアが長い増田さんですが「毎日が勉強」と話します。黙々と何十年も独学を続けていても、まだまだ学ぶことがあり、レベルが上がればまだ先に道があることを知るのだと言います。
東京で絵を学んでいた頃は抽象画を描いていましたが、30代になり徐々に写実的な静物画を描くようになりました。夜は増田さんの創作の時間です。アトリエで一人、静なる物たちの中に宿る神性と向かい合います。増田さんの目を通して描かれた静物が実物よりも存在感を放っているのは、このためだったのだと腑に落ちました。この記事に掲載している絵画の写真は素敵ですが、実物の迫力は再現できていません。ぜひ直にご覧ください!
増田さんの創作は、16世紀イタリアの技法を使ったキャンバスの下地作りから始まります。日常生活にある物を題材に、ささやかな美を自分なりに描くことがパリで達した境地。写実絵画のトップランクにいる尊敬する画家達に近づくことを目標に、これからも写実を極めるため学び続ける増田さん。「見る人に感動を与えたい」という思いが原動力となり、キャンバスに向かう日々を送っています。
増田さんの作品に出会える場所
「喫茶マリー」は画廊喫茶で、お食事・お茶をしながら増田さんの絵を鑑賞することができます。お昼時はランチで賑わいますが、午後3時ごろからはゆっくり絵の鑑賞ができるようです。
ランチタイムが過ぎれば、画家・増田さんとお話ができるかもしれません。絵画が気に入って、購入したくなった場合には商談も可能。
喫茶マリーの概要
店名 | 喫茶マリー |
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ジャンル | 喫茶店 |
営業時間 | 11:00〜20:00 火曜日11:00〜18:00 |
電話番号 | 0930-22-0784 |
定休日 | 日曜 |
駐車場 | あり |
住所 | 福岡県行橋市中央3丁目5−29 |