暮らし

京築の田んぼに異変?トビイロウンカ2020年秋

こんにちは。行橋市在住のママライターあゆみです。
行橋は住宅が増えたとはいえ、まだまだたくさん田畑がありますね。私の生まれ育った兵庫県尼崎市にはない景色。京築の景色が大好きになりました。ここに移り住んで本当に良かった!と心から感じる毎日です。

垂れる稲穂と倒れた稲

8月の終わりに、車を運転しながら視野の端をぐんぐん過ぎ行く稲穂に、秋の訪れを感じていい気分に浸っていました。運転中によそ見はできませんが、前方に広がる田んぼの異変に気づくのに、そんなに時間はかかりませんでした。
その時は「ん?風で稲が倒れたのかな?」と思いました。

恐らく多くの人が倒れた稲を目にされたかと思います。風で倒れたにしては稲が枯れているのでおかしいなと感じたのですが、その場所を走りすぎるともうそのことは忘れていました。

その後、同じように稲が倒れて枯れている光景を、いたるところで頻繁に目にするようになりました。何かおかしいなと感じ、気になっていました。そんな折、農家をしている知人からのメールで、今年は京築全域にトビイロウンカの被害が発生しているということを知りました。

ウンカって何?

ウンカは稲の害虫で、日本では3種類のウンカが見られるようです。一つは、今年京築全域で見られる稲枯れの原因トビイロウンカ、そしてセジロウンカとヒメトビウンカです。トビイロウンカとセジロウンカの生息場所はほぼ稲だけなのだそう。近年中国やベトナムでウンカが大発生しているようです。

稲の害虫トビイロウンカ

トビイロウンカはジェット気流にのって中国から日本へ飛んできます。ウンカの生息する範囲は、九州~西日本あたりまで。稲の根本に住み、茎や葉から汁を吸い稲を枯らします。飛来したトビイロウンカは、たどり着いた稲の根本で生活・繁殖しどんどん勢力を増していきます。

繁殖能力は高いようで、放っておくと稲枯れがみるみる広がっていくのだそうです。早めに気づいて駆除するのが一番なのですが、生息場所が稲の根本付近なのでなかなか見つけにくいのではないでしょうか。

トビイロウンカの被害にショック!

知人の田んぼもトビイロウンカの被害にあったというので、さっそく話を聞きに行きました!

訪ねたのは行橋市で農家を営む光畑眞哲士さん。自宅にある田んぼに異変を感じたのは、8月28日の金曜日だったそうです。そのときの心境は「ありゃ~!」、そしてとても悲しかったそうです。
実りを迎えた頃に見つけた異変。今までの苦労が報われる時期であるだけに、ショックは相当大きかったと思います。

「気づいたときにはもう遅い」と語る光畑さん。すぐに防除薬の手配を行ったそうですが、手元に届くまでの間何もできないことが辛く、「座して死を待つの気持ちだった」とその時の心境を語りました。

共同で作業している田んぼにも、上の写真のような深刻な被害がありました。

防除薬を撒くのだって大変な作業!

防除剤は背負い式の機械で撒いたそうです。1a(アール*)あたり3Kgを背負い、20mのホースがついています。10a分を二人で撒いたそうです。それだけでも重労働ですが、トビイロウンカは稲の根本に生息するので、上から撒くのでなく根元に薬が届かなければならないので、少しかがまなければならないでしょう。かなりの重労働ではないかと想像します。

* 1a(アール)は田んぼの広さを表す単位で、10m×10mです。

防除の結果は?

防除剤散布の後、稲枯れの拡がりが止まったそうです。それでも表情は晴れません。田んぼによっては大きな被害を受けたところもあるそうです。被害の拡がりを止めることが一番ですが、枯れてしまった稲は戻りません。現実が目の前に横たわっているのを見ると、本当に残念な気持ちになってしまいます。

ウンカ以外の被害も

稲の害虫はもちろんウンカだけではありません。一部、外来種のジャンボタニシによる被害が見られる田んぼもありました。稲がごっそりなくなっているところが被害にあった部分です。

悲しがってばかりはいられない

農業は自然の下にあり、地球温暖化による気候の変化など様々な不安はあるけれど、それでも前に進んで行かなくてはならないと光畑さんは語ります。これからどうするか・・・悲しがってばかりではありません。来年はがんばるぞ!と来年への希望を持つ姿を見て、すがすがしい気持ちになりました。

自然の力、前進する力

光畑さんから稲の話を聞きました。

1粒のお米からおよそ20本の稲が育ちます。
1本の稲からは80粒のお米ができます。
そうすると1粒のお米から、20×80=1600
1600粒のお米ができるのです。

自然の力ってすごいですね!

でも今回のようにウンカの被害にあい、たくさんの稲が枯れてしまこともあります。
大雨や強風が吹いて稲がダメになってしまうことも。
これもまた、自然の力。

けれど人間はあきらめない。

農家の人だけではなく、私たちみんな日々の生活の中でダメージを負うことがあると思いますが、立ち上がって前進を誓えば、必ず笑える時が来るでしょう。

なんだか大きな話しになってしまいましたが(笑)、「へこたれない」って素敵な事だと思います。

ABOUT ME
あゆみ
美容&医療ライター、美容・医療分野記事広告類の法令チェック・リライト、記事の編集・校正・校閲、薬事コンサルティング、西日本新聞社発行の地域情報紙「ファンファン北九州」ライター。過去に臨床検査技師から研究開発職にキャリアチェンジし、化粧品開発者として10年勤務後、大学で法学を学ぶ。 学生時代は英語オンチ、今は洋書オタク。趣味が高じて『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』(主婦の友社 2014年)を商業出版。尼崎市出身、行橋市在住。「英語絵本の会」代表。