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みやこ町で日本初のワイン?400年を経て「ガラミワイン」(ガラミ酒)再興

こんにちは、京築ママライターのあゆみです。
日本ワインのルーツが京築にあるってご存知ですか? これまで日本のワイン造りは140年前の明治初期からと言われていましたが、実はもっと昔の1627年、小倉藩細川忠利の命によりワインが製造されていたことが明らかになりました。
そして現在、400年の時を経て当時のワインが再興され販売されています。ワインの名は「伽羅美酒」(ガラミシュ 「酒」は「醫」にサンズイ)。
今回は伽羅美酒の誕生秘話と気になるお味について紹介したいと思います。記事の最後に伽羅美酒が買える場所もご案内します。

伽羅美酒(ガラミシュ)とはどんなワイン?

まずは伽羅美酒ってどんなワイン?というところから説明します。
伽羅美酒はガラミ(学名:エビヅル、通称:ヤマブドウ)を原料にしたワインです。果実(上画像)は小粒でデラウェアほどの大きさ。色は濃く、黒っぽく見えます。味は甘み・酸味と皮の渋みも強く、果汁が多いのですが種が大きく生食には向かないそうです。栄養価については、一般的なブドウに比べポリフェノールやビタミンE、それにミネラルなどが非常に多く含まれています。<*1>

「伽羅美酒」の「酒」という漢字は上の写真のように「医」の旧字体である「醫」にサンズイをつけた漢字になっていますが、これは存在しない漢字なのです。栄養価の高いガラミワインは当時薬酒としても飲まれていたことから、ガラミワインを再興するにあたり商品名で使用するために「醫」にサンズイをつけた漢字を創ったのだそうです。

では次に、伽羅美酒の歴史について解説します。

始まりは細川家古文書(永青文庫が所蔵)

永青文庫が所蔵する「細川家古文書」に

(略)寛永5年(1628)9月15日(略)仲津郡ニ而ぶだう酒被成御作候(略)がらミ薪ノちんとして(略)

とあり、福岡県みやこ町犀川大村が日本最古のワイン誕生の地であることがわかりました。それから豊前国小笠原協会によるガラミ探しが始まりました。山や野を歩き回り、自生するガラミを見つけるまで2年余りを要したそうです。<*2>

古文書によると、ワイン作りは1627(寛永4)年から3年にわたって行われたようです。ワイン作りを命じたのは小倉藩の藩主細川忠利。忠利の母はクリスチャンの細川ガラシャという名で知られる細川珠(玉)。イエス・キリストは弟子たちに「パンとワインを自分(イエス)の体と血として飲食する」ことを命じたとされるように、キリスト教とワインには深い関わりがあります。<*3> このことからクリスチャンの母を持つ忠利がワイン作りを命じた記録は、信憑性が高いと考えられています。

伽羅美酒ができるまで

これがガラミ(ヤマブドウ)

自生しているガラミを見つけた後、つると種を採取して同地区で栽培をはじめました。<*4> ガラミは種から育てると、収穫できるようになるまで3〜5年かかるそうです。
その翌年2018年に、自生するガラミの果実約8.5Kgを収穫。宮崎県の「五ヶ瀬ワイナリー」の協力を得てハーフボトル(375m)12本を作りました。<*5> 400年前の日本初のワイン再現の瞬間でした。

そして2020年、ついにガラミワイン1602本を醸造しました。ところでなぜ1602本なのかというと、小倉城の築城が1602年。ここにもこだわりが見られます。

小倉城にて「伽羅美酒」完成披露会

1602本の「伽羅美酒」完成を記念して、小倉城で披露会が行われたのが2020年(令和2年)2月22日。なんと2続き!!
この完成披露会には、細川家19代当主・細川護光さん(細川元首相の長男)と音楽評論家の湯川れい子さんからお祝いのメッセージも届きました。湯川れい子さんは「スワン・シスターズ」というヴォーカルユニットのメンバーです。スワンといえば「2」と形がよく似ています。スワン・シスターズのメンバーは4人で、顔ぶれがすごいのです。まずは湯川れい子さん(音楽評論家)、下村満子さん(ジャーナリスト)、細川佳代子さん(元総理大臣・細川護熙氏の妻)、鳩山幸さん(元総理大臣・鳩山由紀夫氏の妻)。

マスコミからも注目されました。

出典:KBC九州朝日放送(5/8夕方6:15)「シリタカ」

この動画以外の新聞やテレビの取材は、「豊前国小笠原協会」のフェイスブックページで見ることができます。

伽羅美酒を飲んでみた!

気になるワインのお味です!
伽羅美酒のことを上の動画に出演されている光畑浩治さんにお聞きしてから記事を書くことも決めていたし、自分でも色々調べていくうちにどんどん興味が湧いてきました。これは飲まなくちゃいけないだろうと思い、早速購入して自宅で飲んでみました。
ワイングラスなんておしゃれなものが家にはないので、普通のグラスで飲みました(笑)

色を見てください。濃い紫色がとても上品です。高貴な雰囲気が漂います。あぁ、これがワイングラスだったらよかったのに・・・。
口に含んだ瞬間、ぶどうの香りを感じます。フルーティなインパクトがかなり強いです。次に酸味が来ます。今まで飲んだ赤ワインの中でも、一番と言っていいほどの酸味を感じましたが、強すぎることなく爽やかな酸味です。ガラミ果実の色が濃いので、渋みやエグ味が強いのかと思ったのですが、全く感じませんでした。とても飲みやすかったです。
不思議なのは酸味があってさっぱりしているのに、キリッとした切れ味のいいワインでもないのです。私の感覚ですが、同時にガラミの香りが深く濃いために、酸味が強いにもかかわらずそれほどさっぱりした感じがしないのだと思います。
私は焼酎もビールも切れ味の良いタイプより、深い香りや苦味甘味などが残るタイプが好きなので、伽羅美酒が好きになりました。

伽羅美酒が買えるところ

伽羅美酒は小倉城の「しろテラス」にて、1本4,800円(税別)で販売中です。本数に限りがあるので、入手できなかったらごめんなさい。

店名 しろテラス
住所 福岡県北九州市小倉北区城内2
駐車場 勝山公園地下駐車場500台
営業時間 OPEN 9:00 CLOSE 18:00
営業日 年中無休
問い合わせ先 080-1532-3273
ホームページ しろテラス

◆ 参考文献・参考サイト
*1:山ぶどう | 旬の食材百貨
*2: 49話 ガラシャ夫人と「一花の泪」(令和田舎日記 光畑浩治著 花乱社)
*3:パンとワインが意味するもの—キリスト教の共食儀礼としての聖餐—| 公益社団法人 集団給食協会
*4:北九州は「日本ワイン」発祥の地?!~豊前小倉藩のワイン 400年の時を経て再興~ | 地元いちばん
*5:219話 世の中の「十二」あれこれ(令和田舎日記 光畑浩治著 花乱社)

ABOUT ME
あゆみ
美容&医療ライター、美容・医療分野記事広告類の法令チェック・リライト、記事の編集・校正・校閲、薬事コンサルティング、西日本新聞社発行の地域情報紙「ファンファン北九州」ライター。過去に臨床検査技師から研究開発職にキャリアチェンジし、化粧品開発者として10年勤務後、大学で法学を学ぶ。 学生時代は英語オンチ、今は洋書オタク。趣味が高じて『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』(主婦の友社 2014年)を商業出版。尼崎市出身、行橋市在住。「英語絵本の会」代表。