食べ物

「かみきい味噌」米の甘みと大豆風味豊かな癒し味噌【築上町】

福岡県築上郡築上町にある上城井地区(かみきいちく)で、約10年前から「上城井ふれあい協議会」により味噌作りが行われていました。この度、今年(2023年)の春からメタセの杜などで「かみきい味噌」を販売することになったと聞き、さっそく取材をしてきました!

地元住民のために作ってきた味噌

味噌職人たち慣れた手つきで、どんどん味噌を作っていく。

上城井で育ったお米と福岡県産の大豆を使った味噌作りは、地域づくり団体「上城井ふれあい協議会」(以下、協議会)が10年ほど前から行われていました。

味噌作りの場所は、上城井活性化センター(旧築上西高等学校上城井分校)。家庭科室だった部屋に機器が設置されています。

これまでは農家が多い地域のため、各家庭からお米を持ってきてもらい、協議会で大豆と塩を用意して住民のために味噌作りを続けてきたそうです。

「かみきい味噌」が今年春から地区外デビュー決定

上城井地区が自分たちのために作っていた味噌を商品として販売することが決まり、これまで同地区内の秘蔵(?)だった味噌が、地区を飛び出して多くの方にも味わってもらえるようになります。

この取材のきっかけになったのは、たまたまこの地区の知人宅に来ていた時に、味噌をお裾分けしてもらったことでした。お味噌汁を作ってみると、塩分が少なめにもかかわらず「味気ない」「物足りない」感がなく、お米由来の甘さと大豆の風味がしっかりあるのです。

この味をぜひ多くの人に知ってもらいたいなと思いました。そして先日、味噌作りの現場を見せていただくことができましたので、製造工程も併せて「かみきい味噌」を紹介します。

立派な設備と、かみきい味噌職人たち

味噌作り風景この日は地元の小学生が見学に来ていた。

この日はお隣の上城井小学校の子ども達が味噌作り体験をしているところにお邪魔しました。味噌作りをしている部屋に入ると、自治会の延長と思ったら大間違いな光景が目に飛び込んできました。本業は農家であるにもかかわらず、テキパキと味噌を作る姿は職人。

小学生への説明、味噌作りに必要な計算と記録、洗浄・清掃と、すべてが同時進行でテキパキと作業をこなし、その上私にも機器の説明をしてくださるプロ集団だったのです。

地区で収穫したお米を蒸して、それに麹菌を撒き、米麹を作る工程から行うそうです。今回は最終工程を見学させていただきました。

「かみきい味噌」作りの工程

味噌の材料は大豆、こうじ(麹菌と米)、塩です。発酵食品である味噌は、和食に欠かせない食品の一つですね。

米を水に浸してから蒸す(1日目と2日目)

米を洗った後、水に14〜15時間浸します。

蒸し器これでお米を蒸す。

米は蒸す前に2時間ほど水切りをします。

麹を米に振りかける蒸した米をここに広げて粗熱をとった後、麹菌を植え付ける。

蒸しあがったら少し冷まし、麹菌を米に撒いてよくかき混ぜ、ボックスの中に入れて発酵させます。

米麹を作る、大豆を水に浸す(3日目)

麹ボックス麹ボックスは米麹を作るのに最適な温度と湿度を保ってくれる。

ボックス内では米と麹がブロックのように固まっているので、手でほぐします。最初はとても固いですが、数時間おきにほぐすうちにだんだんと米がバラバラになり、麹が均等に米を覆います。

米麹これが米麹。上城井地区のお米を使う。

この日は大豆を水に浸しておきます。

大豆を煮て、味噌の原料を混ぜ合わせる(4日目)

圧力鍋大豆を煮るための圧力鍋。1回で乾燥大豆20κg分を入れられる。

一晩水に浸した大豆を柔らかく煮ます。

次が一番の見どころです!

塩切り撹拌機に塩と米麹を入れて混ぜる(塩切り)。

まずは米麹と塩を撹拌機に入れて混ぜます(塩切り)。次に大豆を潰さずそのまま撹拌機へ。

この撹拌機は優れもので、撹拌しながら大豆をすり潰してくれるのです!(記事冒頭の動画をご覧ください。)工程が一つ減るのですね。大豆をすり潰す工程が一つ減るだけで、機器の洗浄も減ります。結果、大幅に作業効率がアップするのです。

短時間で撹拌が終了して味噌完成。約3ヶ月待てば食べられます。

「かみきい味噌」ってどんな味噌?

味噌完成味噌が完成。

1番の特徴は、上城井地区でできたお米を使っていることです。そのほか、塩分濃度が低めでその分福岡県産の大豆を増量していることも独自の味を生み出す要素になっていると思います。市販の味噌の塩分濃度は約12〜15%ですが、かみきい味噌の塩分濃度は約9%。塩分が低いとお味噌汁にしたときに味気ないと感じる人がいると思いますが、かみきい味噌が使っている米がとても甘く、材料の大豆の量も多いため、豊かな風味に仕上がっています。

自然豊かで水がきれいな上城井地区で収穫された米のふんわりした甘さを、ぜひ味わってみてください。市販のお味噌は塩分が高いため、毎日お味噌汁を飲みたい人には、やや塩分過剰になってしまうのが悩みの種ですね。かみきい味噌は塩分が約9%に抑えられているので、お味噌汁が好きな人や甘めのお味噌が好きな方に、気に入っていただけそうです。

お店で見かけたら「かみきい味噌」を買ってみて!

かみきい味噌は、2023年春に発売開始されるようです。「京築恵みの郷」の2号店として「ちくじょう店」が4月にオープン予定とのこと。「かみきい味噌」がお店に並ぶ日も近そうですね。

築上町にある直売所に行った際には、「かみきい味噌」を見つけたら、ぜひお味見してほしいです。

ABOUT ME
あゆみ
美容&医療ライター、美容・医療分野記事広告類の法令チェック・リライト、記事の編集・校正・校閲、薬事コンサルティング、西日本新聞社発行の地域情報紙「ファンファン北九州」ライター。過去に臨床検査技師から研究開発職にキャリアチェンジし、化粧品開発者として10年勤務後、大学で法学を学ぶ。 学生時代は英語オンチ、今は洋書オタク。趣味が高じて『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』(主婦の友社 2014年)を商業出版。尼崎市出身、行橋市在住。「英語絵本の会」代表。