天孫降臨の地という説もある京都郡苅田町「高城山」のふもと、田園と山々の美しい風景が広がる白川地区に國崎八幡神社があります。今回は、國崎八幡神社の女性神主さんが面白い取り組みをされていることを聞き、京築ママライター「あゆみ」が取材してきました。
國崎八幡神社の再興を果たした権禰宜(ごんねぎ)辻加奈子さん
辻加奈子さんの実家は代々神職に就き、白川地区と周辺にある合計13社の神社を守ってきました。この地で子ども時代を過ごした辻さんは、東京の大学に進学。そのまま東京で就職・結婚・出産しましたが、離婚を機に子どもを連れて故郷へ戻って宮司であるお父さんの後を継ぐ決心をしました。
東京にいる間に、神職の資格も取得。お子さんが小学校に上がるタイミングで、新しい生活をスタートさせました。ところで権禰宜とは何かご存じでしょうか。これは神職の職階で、会社でいう役職のようなものなのだそうです。上から「宮司(ぐうじ)」・「権宮司(ごんぐうじ)」・「禰宜(ねぎ)」・「権禰宜(ごんねぎ)」・「出仕(しゅっし)」となっています。
なぜ故郷に戻り神職を継ごうと思ったのか
大都会で暮らしてみると、のどかで自然豊かな白川の良さを再確認できたのだそう。東京の生活も刺激的だけれど、生まれ育った地元に活気が失われていくことが気になっていました。心の中に小さくくすぶっていたものが燃え上がったきっかけは、子どもとの再スタートでした。代々続いている神職を継ぐという道を選び、素の自分に戻れる白川へ帰って自分らしいの活動をしていこうと決めました。
まず初めに行ったことは、國崎八幡神社の再興でした。クラウドファンディングで多数の賛同を得て、大成功を収めました。その様子は「シングルマザーの新米神主が神社再興&地域活性化に挑戦する理由『自分を認め、許し、そして……』|寺社Nowオンライン」(外部リンク、別窓で開きます)で詳しく書かれています。
子育てと神職の両立はどのように
神社再興までの道のりと、今後の夢を語る辻さん子育てをしながらライターの仕事をしている私にとって、子育てと仕事の両立についても気になるので聞いてみました。
帰郷した当時、子どもさんは小学校1年生でした。平日は学校なので良いのですが、週末に神事が入ることが多く、子どもを見てもらえるところがなかったそうです。子どもも一緒に連れて行くこともあったのですが、ちゃんとお母さんのお仕事が終わるまで待ってくれていたとのこと。小さいなりに現状を受け止め、新しい環境にもすんなり馴染んでくれたのだそう。
斬新で今の時代に合う、手作りできる「てまりまもり」
インスタ映えするかわいい「てまりまもり」今回の取材の主目的である、自分で作るお守り「てまりまもり」。私も作ってみました!
「てまりまもり」は、手毬の形をしたお守りです。手毬は魔除けとして、または子どもの健やかな成長、物事が丸く収まるようにという願いを託し、昔から大切な人に贈られてきたのだそう。そんな手毬の小さいバージョンを自作できるという、斬新な取り組みです。写真の通り、とても可愛くて従来のお守りというより、おしゃれな小物、装飾品、工芸品のよう。
八幡の「8」、無限大の「∞」、可能性を秘めたDNAの「らせん」など、いろんな形に見える模様模様を作ることも可能ですが、初心者には難しいそうです。
「てまりまもり」の核になる籾殻「てまりまもり」はお願い事を書いた和紙を小さくたたみ、籾殻と一緒に薄紙で包んで丸め、草木染の細糸(綿100%)で丸めた薄紙を手毬の形になるように巻いて作ります。
「ちい てまりまもり」が正式名実際に作ってみた感想は、糸を巻く要領をつかむまで苦戦しましたが、何となくコツがつかめると意外ときれいに仕上がりました。所要時間は個人差がありますが60分前後と考えるとよいでしょう。
「ENNESTE」はハンガリー語「ÉN(=私) ÉS(=と) TE(=あなた)」に、日本語の円(エン)、縁(エン)、手(テ) の意味を掛け合わせた造語自分で作る「てまりまもり」に使う糸の色にも、意味が込められています。
糸の色にも意味がある「てまりまもり」「てまりまもり」を作りながら、ワイワイお話するのも楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきます。この日は私の他、男性2人が作っていました。
「てまりまもり」を作りながらの会話も楽しい。この日は偶然、私と辻さん以外は男性手芸の経験がない人でも、親切に教えていただけるので心配はいりません。國崎八幡神社のInstagramに、「てまりまもり」授与会の告知をしているので、その日時に予約なしで参加できます。正式な名前は「ちい てまりまもり」です。「ちい」とは「小さい」という意味だそうです。
「ちい てまりまもり」授与会(「てまりまもり」を作れる日)の日程は、Instagramで確認できます。初穂料は1体1,500円です。吊り下げ台は別途700円。吊り下げ台を購入しない場合には、國崎八幡神社のタグが付きます。
陽が沈むと竹燈籠に灯りが灯されるイベント「光の紋様」は1月29日(土)が最終日他にもイベントなどはInstagramで告知されるので、興味のある方はフォローしてください!写真にある丸い竹でできたものは「竹燈籠」です。國崎八幡神社で行われる「光の紋様」というイベントで、この竹燈籠に光を入れて、幻想的な風景を作ります。29日(土)がイベント最終日です。
想いは行動に、行動は人とのつながりに
國崎八幡神社オリジナルの御朱印帳辻さんのお話のキーワードは、「やろうと思ったことなら何でもできる」。神社再興の時には、何をどうしたらよいのか途方に暮れることもあったと思います。それでも「成し遂げたい」という情熱が原動力になり、応援してくれる人を引き寄せ、当初の予想を超えた成果を残すことができました。経験を通して「やろうと思ったことなら何でもできるんだ」と感じたそうです。できないことがあるとすれば、「自分でストップをかけているだけだ」と辻さんは語ります。そのストッパーを外せるのも自分自身。辻さんは日々着実に、繋がれる人の輪を広げています。
遊びの心で楽しみながら切り開く
御神札(ごしんさつ=おふだ)の水引がおしゃれ上の写真は御神札で、水引がハイセンスです。右から
- 壬寅(みずのえとら)<寅をイメージ> 【願意】新たな芽吹き
- 梅結び<梅の花をイメージ>【願意】不屈の精神
- あわじ結び【願意】発展
- 叶結び【願意】満ちる心
辻さんの夢はまだまだ続きます。好きな白川で子どもの心に戻って遊び、地元愛を育て守っていきたいという想いが、次々とアイデアを生み出してくれるのだそうです。自分1人にできることは限られているから、もっと大きな活動にするために次のステップに踏み出します。
自然体で前向きな姿がとても素敵でした。「まずは地元のことをもっと知って、好きになることが大事。好きになると、やりたいことが見えてくる」、そんなメッセージが伝わってきました。そこに住んでいるからといって、何でも知っているわけではないのですね。知ると興味が出て、もっと知りたいと思うようになり、そして愛着がわいて誇りを持ってその土地に暮らすようになると思います。それはただの田舎暮らしではない、豊かな暮らしといえるのでしょう。
國崎八幡神社の概要
| 神社名 | 國崎八幡神社 | 住所 | 福岡県京都郡苅田町稲光宮畑384 |
|---|---|
| 駐車場 | 有り |
| 辻さんのブログ | 白川を愛でる(別窓で開きます) 神社再興の様子がわかります。 |
| 國崎八幡神社(別窓で開きます) 最新イベントがチェックできます。 |




